海辺の光

十二月の海は静かだった。 辺りはすでに暗く、波の音のほかに聞こえるのは、海沿いの道を通る車の音くらいのものだった。 渡辺紘一は腕時計で時間を確認すると、助手席のシートに座りじっと海を眺める女の横顔を見た。暖房をつけているとはいえ、寒さを完全に防げるほど紘一の車は新しくも上等でもない。その車内で女は時…